名古屋の運送会社が挑む渋滞対策 - データとテクノロジーで変わる物流効率
愛知県の渋滞箇所数は690カ所と全国最多で、2位の東京都(378カ所)を大きく引き離しています。この数字は、名古屋を中心とする愛知県の運送会社が日々直面している厳しい現実を如実に表しています。渋滞の多さは、定時配送の難しさやドライバーの労働時間増加、燃料コスト上昇など、物流業界に様々な課題をもたらしています。
名古屋市港区に拠点を置く早紀NESSでは、この地域特有の渋滞問題に対し、独自の視点からの対策に取り組んでいます。
本記事では、愛知県の渋滞事情と、それに対応する運送会社の最新の取り組みについてご紹介します。

愛知県の渋滞事情と運送業界への影響
データで見る愛知県の渋滞実態
国土交通省の調査によれば、愛知県の主要渋滞箇所数は690カ所と全国で最も多く、渋滞解消率も4.6%と全国平均(11.5%)を大きく下回っています。特に名古屋市内と周辺の主要幹線道路では、朝夕のラッシュ時間帯に深刻な渋滞が発生しています。
製造業が集中する愛知県では、部品や完成品の輸送量も多く、トラックなどの大型車両の交通量が多いことも渋滞の一因となっています。また、名古屋港を中心とした物流拠点と内陸部の工場を結ぶルートも慢性的な混雑区間となっています。
運送業界が直面する課題
この渋滞状況は、名古屋の運送会社に様々な影響を及ぼしています。まず、納品時間の遅延リスクが高まり、特にジャストインタイム方式を採用する製造業のお客様に対しては深刻な問題となります。
また、2024年問題(ドライバーの労働時間規制の強化)に直面する中、渋滞による拘束時間の延長は運行計画の大きな障害となっています。さらに、渋滞中のアイドリングや頻繁な発進・停止による燃料消費の増加は、コスト面でも大きな負担となっています。
早紀NESSでも、特に港区から市内および周辺工業地帯への配送ルートで渋滞の影響を受けることが多く、これらの課題への対応が急務となっています。
早紀NESSの渋滞対策アプローチ
ブレーキ削減への取り組み
愛知県では渋滞原因となるブレーキに着目した対策が注目されていますが、早紀NESSでも独自のアプローチでこの課題に取り組んでいます。同社が導入を進めているデジタルタコグラフでは、ドライバーの運転パターンを分析し、特に急ブレーキの回数を計測・評価しています。
ドライバー教育では、十分な車間距離の確保や、交通の流れを読む「予測運転」の技術向上に力を入れています。また「ふんわりアクセル」の励行など、エコドライブと渋滞緩和を同時に実現する運転方法を推奨。社内での運転評価でも、急ブレーキ回数の少なさが高評価につながる仕組みを構築しています。
この取り組みは、交通の流れを円滑にするだけでなく、燃費向上や事故防止にも寄与しています。早紀NESSでは、一企業の取り組みではありますが、全てのドライバーが意識を高めることで、渋滞緩和に貢献したいと考えています。
渋滞を考慮した効率的な配送計画
名古屋の慢性的な渋滞状況を踏まえ、早紀NESSでは効率的な配送計画の立案が重要課題となっています。現在は主にドライバーの経験や道路地図アプリの情報を基にルート選定を行っていますが、より体系的なアプローチの導入を検討しています。
将来的には、各ルートの渋滞状況をデータベース化し、時間帯別・曜日別の混雑傾向を分析する取り組みを始めたいと考えています。こうした分析結果があれば、渋滞を回避するルート選定や出発時間の調整が可能になり、定時配送の実現と労働時間の短縮につながるのではと考えております。
特に、名古屋市内の複数の配送先を回るルートでは、渋滞情報に基づいた訪問順序の最適化が大きな効果を発揮すると期待しています。運送業界全体としても、このようなデータ収集や分析がますます重要になっていくと考えています。
地域と連携した渋滞対策への参画
時差出勤の推進
岐阜県で実施されている「みちみちすいすいプロジェクト」のような時差出勤の取り組みに着想を得て、早紀NESSでも可能な範囲で出発時間の調整を行っています。特に朝のラッシュ時間帯を避けるため、一部のルートでは出発時間を早めたり、あるいは遅らせたりすることで、渋滞に巻き込まれる時間を削減しています。
またお客様との協力のもと、納品時間の調整も進めています。例えば、これまで午前中指定だった配送を、比較的交通量の少ない早朝や午後に変更するなど、柔軟な対応を行うことで、全体の交通量の分散に貢献したいと考えています。
他の運送会社との協力体制
名古屋の運送業界全体で渋滞問題に取り組むため、同業他社との情報共有も重要だと考えています。リアルタイムの渋滞情報や有効な迂回路の共有など、個社の枠を超えた協力体制の構築を模索しています。
将来的には、複数の運送会社が共同で物流センターを活用し、共同配送によって車両数を削減するといった取り組みも検討していきたいと考えています。小規模ながらも柔軟性のある早紀NESSだからこそ、新しい物流のあり方を提案していけるのではないかと思います。
テクノロジーを活用した渋滞対策
ドライブレコーダーとデジタルタコグラフの活用
早紀NESSでは、全車両へのデジタルタコグラフとドライブレコーダーの導入を進めています。機器から得られるデータを分析することで、渋滞の発生しやすい場所や時間帯を特定し、より効率的な運行計画の立案に役立てています。
特にドライブレコーダーの映像データは、渋滞発生のメカニズムを理解する上で貴重な情報源となっています。例えば、特定の交差点での右折待ちが渋滞の原因となっていることが判明したケースでは、ルートの変更や時間帯の調整によって問題を解消することができました。
また、急ブレーキや急加速などの運転挙動も記録されるため、ドライバー個々の運転特性を把握し、より円滑で渋滞を引き起こしにくい運転技術の指導にも活用しています。
将来に向けた渋滞解消への取り組み
将来的には、AIを活用した渋滞予測システムの導入も視野に入れています。過去のデータと気象情報、イベント情報などを組み合わせることで、より精度の高い渋滞予測が可能になると期待しています。
また、物流業界全体の取り組みとして注目されている「ホワイト物流」推進運動にも賛同し、荷主企業と協力した配送計画の最適化にも取り組んでいきたいと考えています。渋滞解消は一企業だけでは限界がありますが、業界全体の意識改革と連携によって、大きな変革が可能になると信じています。
Q&A
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名古屋の渋滞は本当に他の地域より深刻なのですか?
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はい、データが示す通り、愛知県の渋滞箇所数は690カ所と全国最多で、2位の東京都(378カ所)を大きく上回っています。製造業が集中し、物流の需要が高いことも一因です。当社としても日々の配送においてその影響を実感しています。
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名古屋の渋滞は本当に他の地域より深刻なのですか?
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はい、データが示す通り、愛知県の渋滞箇所数は690カ所と全国最多で、2位の東京都(378カ所)を大きく上回っています。製造業が集中し、物流の需要が高いことも一因です。当社としても日々の配送においてその影響を実感しています。
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今後の渋滞対策として期待できる取り組みは?
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時差出勤や配送時間の分散化、共同配送による車両数の削減などが効果的だと考えています。また、自治体や他企業との連携による総合的な渋滞対策も重要です。テクノロジー面では、AIによる渋滞予測や効率的な配車システムの導入が期待されます。
まとめ
全国最多の渋滞箇所を抱える名古屋・愛知県において、運送業界は日々厳しい挑戦を続けています。早紀NESSでは、この地域特有の課題に対し、ブレーキ削減への取り組み、データを活用した配送計画の最適化、時差出勤の推進、最新テクノロジーの活用など、多角的なアプローチで対応しています。
これらの取り組みは、単に自社の業務効率化だけでなく、地域全体の交通環境改善にも寄与するものと考えています。渋滞解消率が全国平均を下回る現状は厳しいものの、運送業界が一体となって取り組むことで、少しずつ状況を改善していくことが可能だと信じています。
名古屋市港区を拠点とする早紀NESSは、「安全と感謝の運び手」をモットーに、今後も地域の物流を支えるとともに、渋滞対策にも積極的に取り組んでいきます。モノづくりの街・名古屋の産業を支える運送業として、効率的で持続可能な物流システムの構築に貢献していきたいと考えています。