名古屋の運送会社が解決する免許取得難 - 教習所不足時代の新しい人材育成戦略
自動車教習所の料金が10年で15%上昇し、指導員不足により繁忙期には入校制限を行う教習所が増えています。
特に中型・大型免許の取得が困難になり、トラックドライバーの育成に深刻な影響を与えています。このような状況の中、名古屋の運送業界はどのように人材確保と育成に取り組んでいるのでしょうか。
名古屋市港区に拠点を置く早紀NESSでは、教習所の課題に左右されない独自の人材育成システムを構築し、未経験者でも安心してドライバーとしてのキャリアをスタートできる環境を整えています。本記事では、教習所を取り巻く課題と、それに対する運送会社の新しいアプローチについてご紹介します。

教習所業界が直面する深刻な課題
指導員不足が招く悪循環
警察庁の運転免許統計によると、指導員の数は2024年に全国で2万8588人となり、2015年と比べて11%減少しています。一方で指定教習所の卒業者数は同期間で4%減にとどまっており、指導員の減少率の方が大きいのが現状です。
この指導員不足により、多くの教習所では春・夏の繁忙期に入校制限を実施。特に普通車以外の車種、つまり中型・大型免許の取得希望者が制限の対象となるケースが多く、運送業界の人材育成に大きな支障をきたしています。
運送業界への深刻な影響
最近「中型・大型免許を取らせたい社員がいるのに近くの教習所から入校を断られてしまった」という事例が発生していることも聞いています。これは決して特殊なケースではなく、名古屋周辺の運送会社でも同様の問題に直面している企業が少なくありません。
トラック運転手の不足が深刻化する中、免許を持っていない人材を採用して育成する必要性が高まっているにも関わらず、その育成の入り口である教習所で門前払いを受けるという矛盾した状況が生まれています。
早紀NESSの革新的な解決策
免許取得支援制度の構築
早紀NESSでは、この教習所問題に対する解決策として、入社後の免許取得をサポートする制度の構築を行っています。普通免許しか持っていない未経験者でも、入社後に準中型免許、中型免許、大型免許を段階的に取得できる環境を整えています。
実際に、この半年間は大型免許取得代を全額会社負担とする期間限定キャンペーンを実施し、2名の新たな人材の採用に成功しました。このような積極的な支援により、免許取得の経済的ハードルを下げることで、より多くの方に運送業界へのキャリアチェンジの機会を提供しています。現在、業務に必要な免許の取得については会社としてサポートを行っていますが、今後はより体系的な支援制度を確立し、社員の経済的負担を軽減しながら計画的なキャリアアップを支援していく方針です。
今後は、教習所の繁忙期を避けた計画的な免許取得スケジュールを組むことを検討しています。春・夏の混雑期ではなく、比較的空いている時期を狙って教習所に入校できるよう調整していきたいと考えています。また、将来的には複数の教習所とのネットワークを構築し、一つの教習所が満員でも他の選択肢を確保できる体制を整えることを目指しています。
バディサポート制度による実践的な指導
免許取得はあくまでスタートライン。早紀NESSでは、免許取得後の実践的な運転技術習得に「バディサポート制度」を活用しています。新人ドライバー一人に対してベテランドライバー一人がマンツーマンで指導を行い、教習所では学べない実際の配送業務におけるノウハウを丁寧に伝授します。
この制度により、教習所での基礎的な運転技術と、実際の業務で必要な専門的なスキルの橋渡しを効果的に行っています。特に大型車での狭い道路の走行や、荷物の積み降ろし時の安全確認など、実践的な技術を短期間で身につけることが可能になっています。
他社との差別化戦略
教習所買収に頼らない柔軟なアプローチ
大手物流会社の中には、教習所を買収して自社専用の育成環境を整える企業もあります。
しかし、早紀NESSのような中小企業では、そうした大規模投資は現実的ではありません。
その代わりに当社では、将来的に複数の教習所との良好な関係構築と、柔軟なスケジューリングによって課題を解決していきたいと考えています。教習所の閑散期を狙った入校や、遠方の教習所も含めた選択肢の確保など、小回りの利く中小企業ならではの機動力を活かしたアプローチを検討しています。
地域密着型のネットワーク構築への取り組み
名古屋市港区を拠点とする早紀NESSでは、今後愛知県内の教習所との連携を強化していくことも考えております。
名古屋市内だけでなく、周辺地域の教習所とも関係を築くことで、社員の居住地に近い教習所での免許取得を可能にしたいです。
社員の通学負担を軽減しつつ、教習所の選択肢を増やすことで入校制限の影響を最小限に抑えることを目指しています。地域に根ざした運送会社だからこそ実現できる、きめ細かなサポート体制の構築を進めていく予定です。
未来を見据えた人材育成戦略
デジタル技術の活用可能性
教習所業界ではAI技術を活用した新しい教習システムの開発が進んでいます。早紀NESSでも、こうした技術革新を人材育成に活用する可能性を検討しています。
特に、シミュレーターを使った事前学習や、デジタルタコグラフのデータを活用した運転技術の客観的評価など、従来の教習所教育を補完する取り組みを模索しています。教習所での実技時間を効率化し、より実践的なスキル習得に注力できる環境づくりを目指しています。
多様な人材の受け入れ体制
政府が2024年3月に外国人の在留資格「特定技能」の対象に自動車運送業を加えたことを受け、早紀NESSでも多様な人材の受け入れを検討しています。ただし、安全面を最重視し、日本の交通ルールや運転マナーを徹底的に学べる教育プログラムの構築が不可欠と考えています。
言語の壁や文化の違いを乗り越えて安全なドライバーを育成するためには、従来以上に丁寧な指導が必要です。
バディサポート制度の経験を活かし、外国人材に対してもマンツーマンでの手厚いサポートを提供できる体制を整備していく予定です。
名古屋の運送業界への提言
業界全体での連携の必要性
教習所不足という課題は、一企業だけでは解決できない構造的な問題です。名古屋の運送業界全体で連携し、教習所との関係構築や、効率的な免許取得スケジュールの共有などを進めることが重要だと考えています。
例えば、複数の運送会社が共同で教習所との協定を結んだり、閑散期の入校枠を確保したりすることで、業界全体の人材育成効率を向上させることができるでしょう。早紀NESSも、そうした業界連携の一翼を担っていきたいと考えています。
継続的な人材育成の重要性
免許取得はゴールではなく、あくまでスタートです。真に重要なのは、その後の継続的な技術向上と安全意識の向上です。早紀NESSでは、免許取得後も定期的な研修や、デジタルタコグラフを活用した運転技術の分析など、継続的な人材育成に力を入れています。
このような取り組みにより、教習所不足という外部環境の制約を乗り越え、質の高いドライバーを育成し続けることが可能になります。
Q&A
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教習所の入校制限にどのように対応していますか?
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今後、複数の教習所との関係構築と、教習所の閑散期を狙った計画的なスケジューリングで対応していく予定です。
名古屋市内だけでなく、愛知県内の複数の教習所を選択肢に入れることで、社員の免許取得機会を確保したいと考えています。
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免許取得費用の負担はどうなっていますか?
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現在、業務に必要な免許の取得については会社としてサポートを行っています。今後はより体系的な支援制度を確立し、社員の経済的負担を軽減しながら計画的なキャリアアップを支援していく方針です。
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未経験者でも本当に大型免許まで取得できますか?
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はい、可能です。段階的な免許取得プログラムと、バディサポート制度による実践指導により、未経験者でも安全かつ確実に大型免許まで取得できる体制を整えています。
約9割の社員が未経験からのスタートです。
まとめ
教習所の指導員不足と料金上昇は、運送業界にとって深刻な課題となっています。
しかし、この課題を嘆くだけでなく、新しいアプローチで解決策を見出すことが重要です。
早紀NESSは「自分らしく前向きに生きる」という社是のもと、教習所問題に左右されない独自の人材育成システムを構築してきました。会社負担による免許取得支援、バディサポート制度による実践指導、そして地域の教習所との柔軟な連携により、未経験者でも安心してドライバーとしてのキャリアをスタートできる環境を実現しています。
名古屋の運送業界が持続的に発展していくためには、こうした創意工夫と、業界全体での連携が不可欠です。
早紀NESSは「美心挑戦」の社訓のもと、これからも人材育成の新しい形を提案し、地域の物流を支える人材の確保と育成に取り組んでいきます。